『からむし Karamushi』 展

2023年4月1日

カラムシ 学名: (Boehmeria nivea var. nipononivea)イラクサ科の多年草で、苧麻(ちょま)、青苧(あおそ)とも呼ばれる。国内のからむしはアジア大陸から伝わったとされ、縄文時代から利用されていことが分かっている。紫蘇のような形の葉で、からむしの繊維は長い茎から削ぎ出す。

写真:須田雅子

福島県昭和村で栽培・機織(はたおり)される、植物繊維〝からむし〟。
からむしの装束を纏った、神社での舞奉納や特別イベント。写真展やドキュメンタリー映画上映、トークイベント、解説・展示・販売を通して、その一端を紹介する。

『からむし Karamushi』 
会期: 2023年5月25日(木)〜28日(日) 
時間: 11:00〜18:00
場所: Gallery SUGATA  京都市中京区室町通二条下ル蛸薬師町271-1 然花抄院 
入場料:1,500円(映画ご鑑賞の方にはパンフレット進呈)

からむし 解説・展示・販売 
写真展示 田村尚子(写真家)
ドキュメンタリー映画『からむしのこえ』 監督: 分藤大翼 (2019年/92分/日本) 
◯午前11:00・午後14:00、1日2回上映。座席は先着順。

トークイベント
◯ 5月25日 (木) 上映終了後 16:00〜 鞍田崇(哲学者)× 本名民子(奥会津昭和村振興公社 営業・企画係長)
◯ 5月27日 (土) 上映終了後 16:00〜 鞍田崇(哲学者) 

正式参拝・舞奉納
今宮神社・織姫社 京都市北区紫野今宮町21 
2023年5月25日(木) 無料
午前11:00〜 織姫社 舞奉納「一条の光を繋ぐ」
《舞》臼井万紀子 《音》井原季子   《後見》苳英里香

●特別イベント ※満席御礼!(キャンセル待ち)
【からむし宵茶会】 イベント詳細:桂花御抄 https://www.instagram.com/keika_misho/
【日時】2023年5月26日(金曜日)・ 5月28日(日曜日)
      17:50〜18:45
【於】Gallery SUGATA 
【定員】各回15名
【参加費】一般 4,500円 / 学生 3,500円 (受け付けにて学生証をご提示)
【出演】
《茶》横山晴美 茶房「好日居」
《菓》御菓子司「然花抄院」
《音》井原季子 鳳笙奏者
《舞》苳英里香 舞踊家

共催:昭和村からむし後継者育成協議会 https://www.karamushi.co.jp/work.html
京都からむし実行委員会 代表:臼井万紀子、イベントディレクション:苳英里香、文化ディレクション:川﨑仁美  DMデザイン:若林麻耶

◯からむしとは
イラクサ科の多年草で、草は苧(お)・苧麻(ちょま)とも呼ばれる。繊維は青苧(あおそ)とも言われるが、昭和村では「からむし」と呼び、上布用の高品質苧麻の産地として古来から、からむし生産技術を伝承してきました。昭和村のからむしは、重要無形文化財「小千谷縮・越後上布」の原料として供給され、ユネスコ無形文化財を支え続けている。からむしを原料とする上布の生産地は他に、宮古(宮古上布)・石垣(八重山上布)などがあり、広くは台湾や中国の苧麻、韓国のハンサン郡のモシ(からむしの韓国名)などアジアの多くの地で栽培、生産されている古くから続く貴重な植物繊維です。
平成3年「からむし生産・苧引き」国の選定保存技術選定。
平成23年「会津のからむし生産用具及び製品 」国の重要有形民俗文化財指定。平成29年「奥会津昭和からむし織」国の伝統的工芸品指定。

プロフィール

臼井 万紀子 Makiko Usui  https://www.facebook.com/profile.php?id=100009403535052
施術家。土地・人・物のエネルギーの流れを調整することを信条にしている。1965年京都産まれ、母方の祖父は西陣織の織匠 山口伊太郎[註1]氏。20代は全国を旅し見識を広め、幼少期から成人するまで身体が弱かった事もあり30代からは人々の心と身体のケアに興味を持ち、セラピストの道を歩み40歳で独立。50歳を過ぎ、身体表現に興味を持ち舞を始める。令和3年より舞踊家 苳英里香に師事。自身の表現を探求し続けるべく各地にて舞を奉納。
舞奉納「一条の光」氣多神社、からむし畑 (2022) /福島県昭和村

苳 英里香 Fuki Erika  https://www.instagram.com/keika_misho/
舞踊家。シルクロードより渡り来た文化に惹かれたことから、大陸から日本列島までの民族・土着芸能の系譜を追い求め、その体験により東洋の芸能や思想の中に垣間見える空なる身体性に出会ってゆく。現在は東亜細亜の芸能の探究を主軸としながら滋賀・長浜に暮らしと身体に纏わる稽古場『桂花御抄』を主催。
韓国伝統舞踊を金一志氏に師事。韓国本国にて『全国国楽大典第十三回 丹陽ソリ祝祭』名人部環境部長官章受賞 韓国無形文化財第三九号處容舞 伝授者。

川﨑仁美 Hitomi Kawasaki  https://www.instagram.com/gendaibonsai/
盆栽研究家。高校3年生から盆栽雑誌のナビゲーターを務め、2002年より「現代盆栽」を主宰。「日本盆栽-小さな巨木」をキーワードに国内外で盆栽の解説・キュレーションを行う。盆栽の歴史や作られている土地(植生・風習)のフィールドワークを通して、これからの盆栽のあり方について研究している。京都工芸繊維大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。2014年、米国 エドワード・C・ジョンソン財団(フィデリティ証券)の奨学金を得てアメリカ、イギリスに園藝留学。 文化庁文化創造アナリスト(2021-)、『BRAIAN ENO AMBIENT KYOTO』文化ディレクション(2022–)

鞍田崇 Takashi Kurata  https://www.instagram.com/kurata_takashi/
明治大学理工学部准教授。1970年兵庫県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書に『民藝のインティマシー』(明治大学出版会 2015)、『工芸批評』(共著、新潮社 2019)など。15年にわたり奥会津・昭和村に通う。活動の一端は、ウェブ連載「福島県昭和村 特集」(灯台もと暮らし 2017)、映画『からむしのこえ』(分藤大翼監督 2019)、書籍『からむしを績む』(渡し舟編 2021)などに結実している。

田村尚子 Naoko Tamura  https://vutterkohen.com/about
写真家、国内外での展覧会など多数。著書に『ソローニュの森』(医学書院2012)『Voice』(青幻舎)、『タウマタ』(タカ・イシイギャラリー)他。
また真珠庵『柿』、国宝茶室『待庵』などの書籍を制作・プロデュース。2016年から昭和村に通い、共著に『からむしを績む』(渡し舟編2021)がある。ヴュッター公園/VutterKohenを主宰。

[註1]山口伊太郎 Itaro Yamaguchi(1901-2007)
西陣の織匠。西陣紋織物制作の第一人者。「紫紘」株式会社創業者。実弟は能装束制作の第一人者、山口安次郎(1904-2010)。第二次世界大戦後、西陣織工業組合の設立に尽力し、理事長、財団法人西陣織物館理事長を歴任する。70歳、1970年より織物制作の集大成として錦織による源氏物語の制作を開始。105歳で亡くなるまで37年に渉って続けた。2007年春、最終巻の織製の指示をし、完成を待つのみとなったが、それを見ることはなく6月27日に老衰のため逝去。翌2008年3月3日、「源氏物語錦織絵巻」最終巻の完成。
『源氏物語の糸を辿って-織匠山口伊太郎へのオマージュ』展(2009)。フランス共和国からオフィシエ芸術文化勲章を受章。「源氏物語錦織絵巻」全巻は2セット製作され、ひとつはルーブル美術館東洋部門にあたるギメ東洋美術館、もうひとつは帯屋 紫紘株式会社が所蔵している。

浅野政一(現 織楽浅野)、西陣織関係者と共に今宮神社内に、織物の祖神 栲幡千々姫命を勧請し今宮神社境内に織姫社を建立する。

織姫社 今宮神社境内
御祭神 栲幡千千姫命(たくはたちぢひめのみこと)
別名 天栲幡千幡姫命(あめのたくはたちはたひめのみこと) 、萬幡豊秋津師比賣命(よろずはたとよあきつしひめのみこと)

日本神話に登場する女神で、七夕伝説の織姫に機織を教えた神ともいわれ、技芸上達を司どる。織姫社は西陣織業者が創始した社で、社前にある紅い献灯碑は、織物を織るとき使われるシャトル、 杼(ひ)の形。8月に織姫七夕祭が開催される。

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