トーク・セッション

2011年12月18日



『トーク・セッション 盆栽』
◯2012年1月14日(土)
◯15:00~18:00
Social Kitchen 2F
(京都府京都市上京区相国寺門 前町699)
◯料金:800円

◯メンバー
盆栽研究家:川﨑仁美
美術家  :苅谷昌江
建築工芸 :中村裕太
視覚文化論:林田 新
日本美術史:水谷亜希

「盆栽」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。例えば、漫画やアニメで目にしたであろう、こんな場面を思い浮かべる人は少なくないだろう。少年たちが原っぱで野球を楽しんでいる。ピッチャーが投げたボールをバッターが力いっぱい打ち返し、勢い余ったボールが塀の向こうへと消えていく。しばらくすると怒りを露わにした老人が飛び出してくる。どうやら、彼が丹精込めて育てていた盆栽をボールが破壊してしまったようだ…。野球というアメリカ発祥の活発なスポーツと対比的に描かれるこうした場面を通して、盆栽について「地味」、「渋い」、「老人の趣味」といった、比較的ネガティヴなイメージを何となく抱いている人は少なくないだろう。

その一方で、盆栽は「BONSAI」として世界的な注目を集めている。wikipediaでは、50以上の言語で項目が立てられており、日本語のページよりも充実しているものも少なくない。あるいは、国内でもレストランやカフェの片隅にそっと飾られたり、雑貨屋にずらりと並べられたりしている。いわゆる「和モダン」という言葉が流行を見せる中、盆栽はまるで「お洒落なインテリア」のように扱われているようである。

このように、私たちは盆栽に対して時にネガティヴに、時にポジティヴに、様々なイメージを抱いている。しかし、それは漠然とした何となくのイメージでしかなく、結局のところ私たちは盆栽について何もわかっていないのではないだろうか。

どのように盆栽を楽しめば良いのか?盆栽と「BONSAI」は違うものなのか否か?そもそも、上記のような盆栽に対するイメージはいつ頃定着したのか?こうした問いを巡って展開される本トーク・セッションでは、盆栽研究家・川﨑仁美氏をお招きし、盆栽研究、日本美術史、工芸論、視覚文化論といった様々な研究領域、さらには美術家による実作的な観点を交え、多角的に議論を行っていく。盆栽を「古臭いもの」として性急に忌避してしまうのではなく、かといって、「日本的なもの」として安易に称揚してしまうのでもなく、改めて盆栽について考えを巡らせ、その深遠に迫っていきたい。